これは、2年ほど前に1度アップさせていただいた記事です。
もしよろしければ、ご覧ください。僕が今までカギ屋として爆笑した出来事でした。
・・・・・・
それは、腰が直角くらいに曲がったおばあちゃんでした。年は90歳前後でした。
「あのー、金庫を開けて欲しいんやけど、開けれまっか?」
理由をお聞きすると、中に大事なものが入っているが番号をあわせても開かない、キーはあるが、とのこと。おばあちゃんは、車の運転ができないので、僕の店にはわざわざタクシーでお越しになられたとの事でした。
僕は、僕の車に乗せておばあちゃんの家まで向かいました。
おばあちゃんは
「息子の嫁の意地が悪くて、悪戯ばかりして私を困らせんねん。この金庫もダイヤルを嫁が変えたんじゃ」と、息子さんの奥さんの悪口をずっと言っておりました。あまり深入りすると僕の頭が混乱すると思ったので、上の空で聞いておりました。言うまでもありませんが、ダイヤルを変えるなどということはほとんどできません。
何故か、お年を召された女性は息子の嫁の悪口を言うものです。このおばあちゃん以外にも、そのように悪口を言う女性には、僕は何人か遭遇しております。
おばあちゃんの悪口が最高潮に達した時に、おばあちゃんの家に到着いたしました。おばあちゃんの家の扉には、防犯性の高いスイス製のシリンダーがついておりました。おそらく頻繁にカギ屋さんにお世話になっていたと思われます。
僕は、息子の嫁がダイヤルを変えたという金庫を見ました。
テンキー式の金庫でした。
「大事なものが入ってるねん。開けること出来まっか?ほんまにあの嫁は意地が悪いねん、なんであんなに意地が悪いんやろ?」と、金庫を前にしても悪口を言っておりました。
僕は、この手の金庫の解錠はしたことがありませんでした。幸いにも僕の知り合いのカギ屋さんが、以前にこの金庫を解錠した事をおばあちゃんが言っていたので、そのカギ屋さんから番号を聞くことができました。本当に幸いでした(今考えてみると、おばあちゃんは金庫開けを、少なくとも僕以外にも依頼していたのですね)。
金庫の中に入っているものは、お客様のものですので、カギ屋の仕事は扉を開けるまでです。もちろんカギ屋は依頼人立会いの下で解錠をします。
キーを挿して、番号を押しました。
「ピー」と言う音がして、キーが軽く回りました。
金庫の扉が開きました。
本来なら僕の仕事はここまでですが、
「中のもん、とってくれまへんか?」との事なので、おばあちゃん立会いの下に、金庫の中に手を伸ばし、中のものを取り出しました。
中に入っていたものは・・
・・饅頭でした。
僕が今までにした仕事で、最高のギャグでした。
僕は、二度と金庫の解錠では僕を呼ばないということを条件に、お金はいただかずに店に戻りました。釘を刺しておかないと、何度も呼ばれると思いました。
おばあちゃんの「快進撃」は、これだけにとどまりませんでした。
数週間が経ったある日、見覚えのある腰が直角くらいに曲がったおばあちゃんが僕の視界に入りました。おばあちゃんは僕の希望に反してどんどん近づいてきました。逃げ道のない僕は、睨まれて怯える猫になっていました。
おばあちゃんは、僕の顔をじっとみて
「あのー、神様の言葉がわかる人知りまへんか?何であんなに嫁は意地が悪いか神様に聞きたいねん」
・・僕はカギ屋です。
2008年04月26日
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テンキーの解錠は通常よりもやっかいなのですか?
へたなところに記録しても困るし、
憶えておくのにどうしたらいいんでしょうね。
テンキー式は普通のダイヤル式金庫に比べて格段に組み合わせ数が多いので厄介です(組み合わせずに破壊や解体などで解錠もできますが・・これ以上は書けません)。
今までの記事以外に、倫理上書けないものが結構あります。ストレスが少したまります(笑)。
鍵様
勘違いしているんですね。
ただ・・・私はそういう年寄りにはなりたくないなぁ。
ロンサン・・お仕事本当にご苦労様です。
ちなみにお饅頭はいつから入っていて、消費期限はダイジョウブだったのでしょうか。
それが一番気になります。
おばあさんがお腹を壊せば、嫁が毒を盛った・・・と、なりますからね・・
饅頭は箱の中に入っていました。どこかの名物饅頭のようでしたが、かなり古そうでした。
あれから何回か店の前でおばあちゃんを見かけたので、大丈夫だったと思いますが・・いつから金庫に入っていたのか、今考えても面白い仕事でした。