2008年03月19日

矛盾2

ある日の午前中のことでした

「鍵の交換お願いできますか?」

管理会社の方でした。

「もちろん行かせていただきます。今からでも結構ですよ」というと、

「よろしくお願いします」とのことで、早速行かせていただきました。

「もし用意できるんやったら、マスクしとったほうがええで」との忠告がありました。

ひょっとして、アスベストか何かのことかなと思いましたが、マスクなどは常時用意しておりませんので、そのまま依頼者と一緒に現地へ向かいました。

目と鼻の先の集合住宅でした。その部屋は施錠されていませんでした。

依頼人は勢いよく扉を開けました。

扉を開けてから数秒後、依頼人は僕の顔をみて、ニコッと笑いました。僕もひきつった笑いをしました。想像を絶する臭いでした。

「じゃあ、鍵の取替えしてくれるか?」

できるだけ部屋の中を見ないようにしておりましたが、どうしても横目に入ってしまいました。

この部屋は、いわゆる ゴミ屋敷 でした。

ワイドショーでは頻繁に見るのですが、僕は実際に ゴミ屋敷 を見るのは初めてでした。例えていうなら5分くらい廻した洗濯機の中のようでした。


あまり詳しいことは書けませんが、この部屋の住人は夜逃げをしておりました。部屋をそのままにして、何ヶ月も帰っていないとのことでした。

僕は、強烈な刺激臭に打ち克って鍵の取替えを終えて、店に帰りました。しばらく気分が悪かったのを、何とかして紛らわそうとしていました。


その日の午後のことでした。

「今日、鍵の取替えをしたところ、もう一度鍵をもとに戻してくれへんか?」と、管理会社から電話がありました。かなりあせっているようでした。

訳をお聞きすると、その部屋の 使用停止命令 は出ているのですが、立ち退き命令 が出ていないので、勝手に鍵を替えると法的に都合が悪いとのことでした。

僕はもう一度、あの 悪臭 と対決することになりました。「負けるもんか」と自分に言い聞かせて、取り組みました。無事に終わりました。

「これから、わしらがこの部屋を片付けんとあかんねん」と管理会社の方が言いました。


ゴミ屋敷の住人は、それなりの理由があって夜逃げをしたのだと思いますが、あとの処理のことでどれだけ他人に迷惑をかけているかを考えたことがあるのでしょうか?逃げるが勝ちと思っているのでしょうか?それともすべてを失った弱者として、他人に迷惑をかけることへの 免罪符 を手に入れたとでも思っているのでしょうか?


最近思うのですが、弱者を装って他人の同情を引く風潮がはびこっているように思います。社会的弱者を装って自己の利益のためだけの権利を主張している傾向があるように思います。そのひとつに、重大事件を起こした加害者に対する過度の擁護があります。

ゴミ屋敷の住人 にも、それなりの権利はあるでしょう。ですが、それと同時に、ゴミ屋敷の住人以外の人間にも、ゴミ屋敷の住人を嫌う権利があります。ゴミ屋敷の住人が、ゴミ屋敷の住人以外の人間を嫌う権利があるのと同じように。どちらかが一方的に、他の権利を認めないのなら、それこそ人権侵害であり、差別であると思います。

ゴミ屋敷の住人のように、大きな声を出す人間、恥知らずな人間の主張が、往々にして通ってしまうことのない社会が到来しますように・・・


・・・悪臭を嗅いでしまったその怒りを、こんなところにぶつけてしまいました。
posted by ロン at 22:41| 上海 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | こんな仕事をしました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゴミ屋敷ができるのは至極簡単な事ですよね。
当人の意思によるものなら言語道断ですが、家族であれ、親や祖父母さらに・・・の代々の残骸にもがいている人を知っています。
お金ですまない事・・・価値観の違い。
物に価値を見出す気の無い私には、ロンさんも、知人もどちらも被害者で・・・

義務を果たさず、権利と自由ばかり強調する世の中が悲しいですね。
Posted by かかまる at 2008年03月30日 22:28
かかまるさんへ:コメントありがとうございます。
悲しいことですが、ゴミ屋敷はこれからも増え続けることでしょう。
価値観の違い・・全ての争いは、価値観の違いから生まれるのでしょう。思いやり 恥 という価値観が全ての人の心の中にあれば、ほとんどの争いはなくなると思うのですが。
Posted by ロン at 2008年03月31日 08:10
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