店があまりにも暇なので、僕はインターネットを通じて、タバコを吸いながらあるアニメの動画を見ておりました。
泥棒が少女に「何人死んだかな?」と問いかけているところでした。一番いい場面でした(あまりにも名作なのでこのアニメがどのアニメでどの回かをお解かりの方も多いと思います)。
「すみません。シャッターのカギですが、できますか?」と一人の男性が僕の店に入って来ました。見たところ僕と同じくらいの年齢でした。
僕は泣く泣くその名場面を後にして、作り笑いをしながら
「いらっしゃいませ。心を込めて作らせていただきます」とお客様に近づきました。
そのカギは一般的なシャッターのカギでした。6本の注文でした。
僕と同じくらいの年齢なら、このアニメは絶対知っているとの、根拠の無い確信を持って自信満々に
「少し時間がかかりますが、どうぞこちらでお座りになられてこのアニメでも見ていてください。こちらでタバコを吸われても結構ですよ」といって灰皿を出しました。
その方は愛想笑いをしながら、イスに座ることも無く立ったまま合鍵の完成を待っているようでした。見ようによっては、アニメから眼をそらしているようでした。
動画の声がしなくなりました。その方はようやくイスに座られました。タバコは吸われないようでした。僕は黙々とカギを切っていました。
ようやく切り終わりました。
僕は領収書の宛名をお聞きしました。変わった団体のお名前でした。
僕は、好奇心が旺盛なので
「何をされている方ですか?」とお聞きいたしました。
「私は教会から来ました。今日突然カギが壊れたんです」とおっしゃられました。
聞かなくてもいいのに僕は
「牧師さんですか?」と聞きました。
「牧師ではありません。私たちはこういうものです」と、冊子を2冊取り出し、カウンターに置かれました。某キリスト教系の宗教でした。
お会計を済ませ、ありがとうございましたといってお客様を送り出しました。苦笑いをしながらお客様は離れていきました。
僕は急いでイスに座り、少女がコーヒーのガラスのポットを落として割る場面からまた見始めました。
店が暇になって、タバコを吸いながらアニメを見ている・・・
しかももうすぐ40才・・・
神に仕える方々の目から見れば、僕は救うべき 子羊 なのでしょう・・・
2007年11月28日
2007年11月08日
人間 この哀しきもの
僕がカギ屋になってから、2年が過ぎた頃のことでした。
以前の職場(ホームセンター)で一緒に働いていた部下(僕より1年遅れて新入社員で入ってきた部下、A君とします)が、カギ屋をすると言うことで店作りを手伝うことになりました。
A君が店をかまえる場所の近くにホームセンターがあり、僕とA君はよくその店で買出しをしていました。そのホームセンターは以前、僕とA君が勤めていたホームセンターでした(働いていた店舗はこの店舗ではありませんでした。このホームセンターは現在、全国チェーン展開をしております)。
この店舗に買出しをしていると、
「お久しぶり・・」とどこかで聴いたような声がしてきました。
MY君でした。
MY君は、僕がこのホームセンターに入社して、僕が働いていた店舗に1ヶ月ほど後に入ってきた同年齢の男でした。
僕とMY君は同年齢ということもあり、MY君が入社してからすぐに仲良くなり、夜はよく遊びまわったものでした。1週間のうちに3〜4回ほどは2人きりでメシを食いに行ったものでした。
MY君が転勤になり、僕がこのホームセンターを辞め、それからほとんど連絡を取っていなかったので、本当に久しぶりの再会でした。
お互いにこれまであったことを、いろいろ話したかったのですが、MY君は勤務中だったので、少しだけ話しました。僕がカギ屋になって満足していること、もしホームセンターに飽きたら、この仕事をしないか?と半分冗談半分本気で言ったりしました。MY君は、以前のように元気ではありませんでした。確かに合理化で人員が減らされていたので、正社員に負担がかかっていてしんどいのかな?と思っていました。少し買い物をしてレジを済まして
「また、ここに買い物に来るわ、ほんじゃ」と僕はMY君に言いました。
「じゃぁバイバイ」とMY君は元気なさそうに言いました。
これが僕が最後に見たMY君でした。
ある1月の寒い日の夜でした。僕の携帯に電話がありました。
僕はこの頃、ある特定の男の人からしつこい電話があり、その電話は故意にとらないようにしていました。下3ケタが同じ数字の番号でした。下3桁は奴の番号だと思っていたので登録もしていませんでした。しつこく鳴った後、切れました。
それから3日ぐらい経ったある日のことでした。
そのホームセンターで一緒に働いたことのある年下の元上司から、僕の携帯に電話がありました。
「MYさんが、亡くなりました」 彼もかなり動揺していました。
僕が「原因は?」と聞くと、「よくわからないんですが、今日、御通夜に行ってきました」と言ってました。
僕は、悲しくなりました。同じ年の人間が、まさかあんなに元気だったMY君が突然亡くなるなんて。人間の命は本当にわからないと思いながらも、MY君の亡くなった原因は何だったのか、究明したいと思っておりました。
僕がやめた当時の同僚や、部下、上司はまだたくさんそのホームセンターにいましたので、僕はMY君がどうして亡くなったのか、できるだけたくさんの同僚、部下、上司に聞きました。みんな、言うことがばらばらでした。脳溢血だ、内臓疾患だ、原因不明だとばらばらでした。僕は何か嫌な違和感を感じました。
それから1週間が経った頃のことでした。僕の携帯に例の下3ケタが同じ数字の番号の電話がかかって来ました。
僕は、又しつこい電話だと思い、しばらく取りませんでしたが、あまりにもしつこいので電話にでました。
女性の声で
「お宅様は、どちら様ですか?」と聞いてきました。僕が考えているしつこい相手ではありませんでしたが、しつこく鳴らされた上に、自分がかけている相手を知らずにかけているのはどういうことだと思い(いたずら電話かと思い)
「あなた、僕が誰かわからないのにかけているんですか?まして御自分の名前も言わずに、失礼だとは思いませんか?何よりもこの電話番号どうやって知ったんですか?」と僕は言いました。
「失礼いたしました。私、MYの姉です」
僕はびっくりしました。
「この電話は弟の電話です。発信履歴の最後にあった番号にかけたんです」
(僕はMY君の携帯の電話番号をもともと登録していませんでした。彼の電話番号も下3ケタが同じ数字でした。彼は僕の番号を登録してくれていました)。
一瞬にして、厭な 予感 がしました。
僕はこの 予感 が当たってほしくないと思いながら、恐る恐る
「M君はなぜお亡くなりになられたんですか?」と聞きました。
「自殺でした」
厭な 予感 が当たってしまいました。
この電話番号は、MY君の電話番号でした。僕が勘違いしてとらなかったのです(どちらも下3桁が同じ数字だったのを僕が勘違いしてしまったのです)
何より、あのときの電話は彼にとって 最後の電話 だったのです。彼は僕を最後に選んでくれたのです。
僕が最後にもし電話に出たとしても、彼の命を救えたかどうか解りません。ですが、僕は話す機会さえ彼に与えないという最も酷いことをしてしまいました。
遺書には自分を責める言葉がびっしり書かれてあったそうです。
つらいことがあった場合は、逃げればいいと他人は簡単に言いますが、真面目な人間ほど逃げることはできないのです。責任感がある人間ほど自分を追い詰めるのです。MY君は本当にいい奴でした。
人間 この哀しきもの
いくら後悔しても時間は取り戻すことができません。
僕は彼から人間の哀しさ、そして取り返すことができないことがあることを知りました。
以前の職場(ホームセンター)で一緒に働いていた部下(僕より1年遅れて新入社員で入ってきた部下、A君とします)が、カギ屋をすると言うことで店作りを手伝うことになりました。
A君が店をかまえる場所の近くにホームセンターがあり、僕とA君はよくその店で買出しをしていました。そのホームセンターは以前、僕とA君が勤めていたホームセンターでした(働いていた店舗はこの店舗ではありませんでした。このホームセンターは現在、全国チェーン展開をしております)。
この店舗に買出しをしていると、
「お久しぶり・・」とどこかで聴いたような声がしてきました。
MY君でした。
MY君は、僕がこのホームセンターに入社して、僕が働いていた店舗に1ヶ月ほど後に入ってきた同年齢の男でした。
僕とMY君は同年齢ということもあり、MY君が入社してからすぐに仲良くなり、夜はよく遊びまわったものでした。1週間のうちに3〜4回ほどは2人きりでメシを食いに行ったものでした。
MY君が転勤になり、僕がこのホームセンターを辞め、それからほとんど連絡を取っていなかったので、本当に久しぶりの再会でした。
お互いにこれまであったことを、いろいろ話したかったのですが、MY君は勤務中だったので、少しだけ話しました。僕がカギ屋になって満足していること、もしホームセンターに飽きたら、この仕事をしないか?と半分冗談半分本気で言ったりしました。MY君は、以前のように元気ではありませんでした。確かに合理化で人員が減らされていたので、正社員に負担がかかっていてしんどいのかな?と思っていました。少し買い物をしてレジを済まして
「また、ここに買い物に来るわ、ほんじゃ」と僕はMY君に言いました。
「じゃぁバイバイ」とMY君は元気なさそうに言いました。
これが僕が最後に見たMY君でした。
ある1月の寒い日の夜でした。僕の携帯に電話がありました。
僕はこの頃、ある特定の男の人からしつこい電話があり、その電話は故意にとらないようにしていました。下3ケタが同じ数字の番号でした。下3桁は奴の番号だと思っていたので登録もしていませんでした。しつこく鳴った後、切れました。
それから3日ぐらい経ったある日のことでした。
そのホームセンターで一緒に働いたことのある年下の元上司から、僕の携帯に電話がありました。
「MYさんが、亡くなりました」 彼もかなり動揺していました。
僕が「原因は?」と聞くと、「よくわからないんですが、今日、御通夜に行ってきました」と言ってました。
僕は、悲しくなりました。同じ年の人間が、まさかあんなに元気だったMY君が突然亡くなるなんて。人間の命は本当にわからないと思いながらも、MY君の亡くなった原因は何だったのか、究明したいと思っておりました。
僕がやめた当時の同僚や、部下、上司はまだたくさんそのホームセンターにいましたので、僕はMY君がどうして亡くなったのか、できるだけたくさんの同僚、部下、上司に聞きました。みんな、言うことがばらばらでした。脳溢血だ、内臓疾患だ、原因不明だとばらばらでした。僕は何か嫌な違和感を感じました。
それから1週間が経った頃のことでした。僕の携帯に例の下3ケタが同じ数字の番号の電話がかかって来ました。
僕は、又しつこい電話だと思い、しばらく取りませんでしたが、あまりにもしつこいので電話にでました。
女性の声で
「お宅様は、どちら様ですか?」と聞いてきました。僕が考えているしつこい相手ではありませんでしたが、しつこく鳴らされた上に、自分がかけている相手を知らずにかけているのはどういうことだと思い(いたずら電話かと思い)
「あなた、僕が誰かわからないのにかけているんですか?まして御自分の名前も言わずに、失礼だとは思いませんか?何よりもこの電話番号どうやって知ったんですか?」と僕は言いました。
「失礼いたしました。私、MYの姉です」
僕はびっくりしました。
「この電話は弟の電話です。発信履歴の最後にあった番号にかけたんです」
(僕はMY君の携帯の電話番号をもともと登録していませんでした。彼の電話番号も下3ケタが同じ数字でした。彼は僕の番号を登録してくれていました)。
一瞬にして、厭な 予感 がしました。
僕はこの 予感 が当たってほしくないと思いながら、恐る恐る
「M君はなぜお亡くなりになられたんですか?」と聞きました。
「自殺でした」
厭な 予感 が当たってしまいました。
この電話番号は、MY君の電話番号でした。僕が勘違いしてとらなかったのです(どちらも下3桁が同じ数字だったのを僕が勘違いしてしまったのです)
何より、あのときの電話は彼にとって 最後の電話 だったのです。彼は僕を最後に選んでくれたのです。
僕が最後にもし電話に出たとしても、彼の命を救えたかどうか解りません。ですが、僕は話す機会さえ彼に与えないという最も酷いことをしてしまいました。
遺書には自分を責める言葉がびっしり書かれてあったそうです。
つらいことがあった場合は、逃げればいいと他人は簡単に言いますが、真面目な人間ほど逃げることはできないのです。責任感がある人間ほど自分を追い詰めるのです。MY君は本当にいい奴でした。
人間 この哀しきもの
いくら後悔しても時間は取り戻すことができません。
僕は彼から人間の哀しさ、そして取り返すことができないことがあることを知りました。

