2006年10月30日

連鎖

ある中年夫婦でした。

この御主人は、以前に僕の店で合鍵を作ってくれた方でした。

「カギがない南京錠は、どないしたら開きますやろか?」という質問でした。

前に合鍵を作った時には、かなり値切られました。できるだけお金がかからないようにということだと思ったので、僕がその現場まで出張して解錠をすることは考えませんでした。

この方は、これまでにも僕の店の前を通られる時には必ず挨拶をしてくださいますし、労いの言葉をかけてくださいます。この方の人柄を信じて、僕は南京錠の つる 程度なら切断ができるボルトクリッパー(金属線を切断する工具)をお貸しいたしました。

一週間ほどして、その御夫婦がお越しになられ
「ありがとうございました。おかげさまで助かりました」といってボルトクリッパーを返してくれました。

僕は、その後主人にどこの南京錠をなぜ破壊したのかをお聞きしました。

この方は見かけによらずビルのオーナーでした。

ビルの部屋を事務所としてある人物に貸していたところ、家賃が滞りはじめたので、その人物に連絡を取ろうとしましたが連絡が取れないとのことで、その事務所に行くと、もぬけの空でした。

ここまでならよくある話なのですが、そのビルの集合ポストに頑丈な南京錠がかかっていたままになっていました。その南京錠を破壊するために僕に相談してきたとのことでした。

その御主人は
「おそらく、振り込め詐欺か、なにか違法なものを販売していてその代金の郵送先やったかも知れへん。実際、事務所はこのポストのためだけに借りたかもしれへんな」とおっしゃられておりました。


次の日のことでした。

僕の知り合いのある女性が
「南京錠を開ける方法ない?」と、言ってきました。

理由を聞くと
「2,3日前から、私のところのポストだけに、何でか知れへんねんけど南京錠がかけられてんねん。私のところ、普通の市営の公団やねんけど」と言うことでした。

状況がわかってしまったので、前の方のように軽々とボルトクリッパーを貸すことはできませんでした。その南京錠を勝手に破壊してしまうことは、法的に正当かどうかがわからなかったので
「警察に相談して、破壊してもいいと言ったらこれ(ボルトクリッパー)貸してやるわ。警察に立会いしてもらって破壊したらええねん」と提言しました。

実際は、他人の所有物であるポストに、勝手に南京錠をかける恥知らずな人間には容赦ない罰を与えればいい、と思っていました。最近のニュースを見ていると、他人の迷惑を考えない人間が増えているようです。こんなニュースを見るたびに、僕は「アホとちゃうか!」「こんなやつ、おれが総理大臣やったら死刑じゃ!」とわけのわからない独り言をテレビに向かってつっこんでおります。時々、父ものってくれます。

数日して、その女性がきて
「一応、警察に聞いたら壊してもええと言ってくれたけど、ポストをガムテープで頑丈に目張りして中の郵便物をとられへんようにしたら、次の日には南京錠はなくなっとったわ」といいました。

犯罪とまではいえないかも知れませんが、奇妙なことは連鎖します。


今になって思うのですが、この女性が南京錠をもう一個ポストにつけたら、犯人にストレスを与えることができた上で、問題解決ができたかも知れません。

ただし、もし犯人が カギ屋 だったら、犯人の思うつぼだったでしょう。
posted by ロン at 21:31| 上海 ????| Comment(0) | TrackBack(1) | 珍客日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月28日

奇跡的な偶然

僕の店は一年に一回親睦会をいたします。親睦会には、スタッフのほかにお世話になっている方を呼びます。

そのときは、いつも高度な鍵の仕事をお願いしている錠前師のYさんと一緒に親睦会をしていました。Yさんは仕事をそのときはお休みして親睦会に来てくださいました。

某有名中華料理店で会食をしておりました。この店はたくさんの有名人がお忍びで来る有名店で、オーナーの方もよくテレビに出ていました。

乾杯をして、しばらくして場が和んだ頃でした。携帯の着信音が鳴りました。Yさんの携帯でした。

Yさんは、この会食の雰囲気を壊したくないという心遣いで、少し離れて小さい声で会話をしておりました。小さい声で会話をしていると、Yさんの心とはうらはらに僕は会話の内容がものすごく気になりました。どうやら、同業者からの仕事の依頼のようでした。

Yさんも僕も仕事を1番に考えているので、もしYさんが仕事に行かれるのならそれはそれで当然だと思っていました。

Yさんは、はじめはゆっくりしたやさしい口調でしたが、だんだん声が大きくなり、激しい口調になり、早口になり、最後は「それは本当に偶然ですので、そのまま車の工場に行かれたほうがいいですよ!」といって電話を切りました。

僕は、Yさんにどんな電話だったのか聞きました。

あるお客様が、車のイグニッション(エンジンをかけるカギの部分)に誤って家のカギをさしてしまったそうです。それが抜けなくなってヘルプを頼んだ、というなら一般的だったのですが、カギがそのままささってまわって、エンジンがかかったというのです。しかしエンジンはかかっても、カギは抜けないとのことでした。

こういうケースでは、カギ屋が現場に行っても何もできません。というより、お客様もそのまま車の工場に行けばズバッと解決でした。しかし、気が動転していると人間は正常な判断はできないものです。


人の世はカギに似ています。

見た目には合いそうもない人と人が、実は相性が良かったり、1つの事柄でぴったり合ったりするものです。

しかし、見たところ完全に合いそうなのに、どうしても合わなかったりするものです。

考えてみれば、人と人は、お互いに弱点や欠点を補いながら支えているのです。

カギは、人の世の縮図かもしれません。
posted by ロン at 23:30| 上海 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | カギ カギ屋 カギ業界の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月26日

セールスに負けた日

僕を含め個人事業者にはたくさんのセールス、勧誘の電話がかかってきます。

ほとんどが資金融資、ホームページ作製のセールスです。

僕の店の電話にはナンバーディスプレーがありますので、市外局番である程度お客様かどうかわかります。また、取引先などもわかります。

市外局番が遠いところや、03 06からはじまる電話はほとんどが勧誘の電話です。

相手は
「○○(会社の名前)の××(個人の名前)と申します。御代表者様はおいでになられますでしょうか?」と聞いてきます。

僕は
「社長は、日本全国飛び回っておりましてこちらの方にはほとんど来ません。僕、アルバイトですが、お伺いいたします」
と言います。

ほとんどが、
「失礼いたしました」
といって電話を切ります。なかなか根性がありません。



僕にまだ彼女いなかった頃のことです。

電話の呼び出し音がなりました。

今までに見たこともない市外局番の電話番号でした。

僕はいつものセールスの電話だとおもって、いつもどおりの断り方をしようと考えながら電話を取りました。



「あのー、焼酎を売っているんですけど買っていただけませんか?」

女性の声でした。少しなまっていました。飾りのないセールスでした。

「美味しいですよ。いかがですか?」と、その女性はセールスを続けました。

僕は
「どちらにおかけですか?こっちはカギ屋ですよ」というと

「別に、こだわっておりません」とのことでした。

さらに
「どうやって、ここの電話番号を調べたんですか?」と聞くと

「電話帳です」と、至極自然な返答でした。

僕は純朴なこのセールスに、はまってしまいました。

とりあえず、商品のパンフレットをFAXしてもらいました。FAXが届いてからはじめて、相手の会社(店)を知りました。

FAXを見ているともう一度電話がかかってきました。

「いかがですか?美味しいですよ」とまたまた素直なセールスがはじまりました。

僕は、焼酎は大嫌いなのですが、2本注文してしまいました。

「あのー、黒酢もあるんですが」とその女性は続けました。

僕は言われるがままに、黒酢も1本注文してしまいました。

「あのー、合せて6本お買い上げいただくと送料が無料になりますよ」

僕は
「6本までは買うことはできません。申し訳ありません」といいました。

なぜ僕が謝らなくてはならないのか、僕にも理解できませんでした。

素人のホステスさんにのぼせる男の心境が、わかるような気がしました。



数日して、モノが届きました。

勢いで買ってしまった焼酎と黒酢ですが、この焼酎と黒酢によって、いろいろな「情」を感じることができました。


焼酎の1本を、いつも行く居酒屋にあげました。

それ以来、その居酒屋に行くたびに安くしてくれます。
「人情」を感じました。


もう一本を、飲み友達にあげました。

それ以来、よくおごってくれるようになりました。
「友情」を感じました。


黒酢を母に献上しました。

母は
「しょうもないもん買っとらんと、はよ結婚せい!はよ出て行け!お前はホモかっ!!」



確かに僕は、大嫌いな焼酎や、飲み方もわからない黒酢を口車にのって買ってしまうバカな息子です。

なぜ、黒酢を買うことが「ホモ」に結びつくのか理解に苦しみますが、「バカな子ほど可愛い」のでしょうか。

息子の幸せな結婚を願う母の「愛情」を感じました。
posted by ロン at 18:58| 上海 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | カギ屋の徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月23日

時を越えた声

今年の夏のことでした。

「中古の家を買ってん。このカギ回りにくいねん。鍵の取替えして欲しいねんけど」と1人の中年男性がお越しになられました。

メーカーを特定するために、キーを見せてもらいました。某有名メーカーのカギでした。

一戸建てか集合住宅かお聞きして、だいたいの目安をつけてその方の家にお伺いしました。

現場に到着し、扉を見ました。

かなり古いメゾネットでした。お値段を聞くと訳あり物件で、驚異的な安さの家でした。


錠前はかなり古く、僕もはじめて見るものでした。箱錠(扉の内側にビスで取り付けるタイプ)でした(かろうじて、鍵のカタログ<Kシリーズ>にシリンダーは掲載されておりました)。おそらく30年ほど前に取り付けられたものだと思います。

この型の箱錠は主に公団に取り付けられているもので、メーカー間の互換性もあり、新しくモデルチェンジされているものでも、本体のビスピッチや外側のプレートのビスピッチなどは一緒なので、取替えの場合は、通常、錠前の取替えをいたします。

僕がその扉にあうモデルチェンジされた錠前を取り出し、仮止めをしようと錠前を扉に付けた時でした。

なにかしっくりしません。どうしてもビスがとめられないのです。

シリンダーを通すためにきれいにあけられた貫通穴をしげしげと眺めながら、どうしてビスがとめられないのか考えました。

もう一度ゆっくりつけようとした時に、ようやくその理由がわかりました。

バックセット(鍵穴から扉の端までの距離)が、どうも違うのです。貫通された穴の中心が、ずれていました。

古い型の錠前は、外筒がかなり小さいのでバックセットがずれていてもきれいにはまるのですが、新しい型の錠前は外筒が大きいので穴を大きくしなければ錠前がつきません。古い錠前は貫通穴の大きさでカバーされていました。おそらく、この貫通穴にあう錠前を無理やり探したのでしょう。箱錠なので、貫通穴が大きくても、錠前やプレートがカバーしていますので外からはどのような穴が開いているかわかりません。

あまりにも大胆な加工ミスでした。

お客様の希望で、扉を加工する(貫通穴を広げる)ことを断念して、合わなくなったキーをコードマシンで浅くコピーし、スムーズに回るようにしました。


この扉に錠前を取り付けたカギ屋(サッシメーカーの下請けの業者かも知れませんが)の

「しまった!やってしまった!」
という声が聞こえたような気がしました。


僕も、錠前の仕事で数々の失敗をしました。

同じ轍を踏む未来の同業者に

僕の「しまった!やってしまった!」の声が聞こえませんように・・
posted by ロン at 22:34| 上海 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | カギ屋の徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月19日

初志貫徹

僕が店をはじめてから、2,3ヶ月が経った頃のことです。

昔なつかしい巨人の帽子をかぶってこられた方でした。黒ぶちのメガネをおかけになられて、上はセーター、下には紺色のジャージをはかれた初老の男性でした。

「カギ、換えてくれるか?」とおっしゃられたので

「どんなカギか、一度お伺いいたします」といって、その日の夜にお伺いしました。

彫りこみのチューブラ錠でした。

「店で在庫を調べて、明日御連絡いたします」と申し上げて、その日は失礼いたしました。

次の日、在庫を調べてみるとちょうど切れておりました。問屋に在庫を確認するためにFAXを送りました。

そのまま問屋の返事が無かったので、僕はすっかりそのお客様のことを忘れてしまいました。

その次の日、開店と同時に見覚えのある巨人の帽子をかぶった初老の男性がお越しになられました。

「昨日は、お電話をかけることができませんでした。どのタイプのカギにしようかと思っていまして、お電話をかけようかとも思ったのですが、ついつい・・」と苦しい言い訳をしておりますと

「昨日、一日中あんたの電話を待っとったんや」と、かなりいじけたように僕に迫ってきました。

僕は素直に
「申し訳ありません」と申し上げると

その方は
「どうせ忘れとったんやろ?正直に言うてみい。あんたみたいなんが、飲みに誘うだけ誘っといて、結局行かへんねや。ふんっ」とさらにいじけてしまいました。

僕は、一本の電話の重さを痛感するとともに、この方は僕のことをよく見抜いているなと感心いたしました。

このことがあって以来、僕は自分から誘った飲み会に関しては、初志貫徹をしようと心に決めました。
posted by ロン at 22:23| 上海 | Comment(0) | TrackBack(0) | カギ屋の徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月18日

シュールな御夫婦

僕の店は、カギに関する業務のほかに、表札、印鑑などの販売もしております。

にぎやかな御夫婦でした。

「表札を買いたいんですが」

僕は「どんな感じのものがよろしいですか?」と尋ねました。

御夫婦は僕の店に飾っている、あるサンプルを指差して
「こんなやつがいいです」とおっしゃられました。

最近よく売れ始めている、わざと古めかしさを醸し出したセラミックの表札でした。

僕は

「いやー、御目が高い。この表札は最近・・」と営業口調で御夫婦にいろいろ説明をいたしました。

御夫婦は、僕の説明が終わる前に

「これにします」とおっしゃられました。

僕が注文書に必要事項を書いてると

「あのー、彫った部分に色を塗らないでいただけますか」とおっしゃられました。

石材やタイル(セラミック)や木の表札は、名字や名前を彫った部分に墨(塗料)を塗ります。彫っただけでは文字の部分が凹になるだけで何が彫ってあるかわからないからです。

おそらくメーカーも技術的には、たやすいことですが、念のためにメーカーに聞いてみました。

メーカーは

「問題なくできますが、何が書いてあるかわからなくなりますよ」とのこと、僕の思ったとおりのこたえが返ってきました。

僕は、問題なくできますが、何が書いてあるかわからなくなること、その上でノークレームなら注文をお受けする旨を伝えました。御夫婦は考えることも無く
「ではお願いします」と注文されました。しかもフォントはメーカーが用意しているものの中で肉幅の細いドラゴン体というフォントにされました。


一週間ほどして、モノが届きました。

確認のために箱から取り出して拝見しました。
2m離れて見たら、何も書いていないただのタイルにしか見えません。

僕なら卓袱台をひっくり返して
「こんなもんいらんわっ!」というようなものでした。

御夫婦に「届きました」の電話をしました。御夫婦はすぐにお越しになられました。

僕は万が一の場合の言い訳を考えながら、恐る恐るモノを御夫婦にお渡ししました。もしカウンターをひっくり返されたらどうしよう、キャンセルされたらどうしよう・・

「これはええもんができたわ!こりゃええ!」と御主人が口を開き、今までの緊張がとけました。

御夫婦ともにかなり満足されたようでした。

僕は

「失礼ですけど、この表札で本当にいいんですか?少し遠くから見たらなに書いてあるかわかりませんよ」と言ってしまいました。

「なに書いてあるかわからんほうがええねん。こらええわ」とモノを見つめながら本当に満足していました。何が「こらええわ」なのか僕には理解できませんでした。

一般的には、表札は家の顔ですので、かっこよく、目立つほうがよろしいと思うのですが、全く逆を突っ走るこの御夫婦のシュールなセンスを見習おうとしている僕がいました。
posted by ロン at 19:48| 上海 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 珍客日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月16日

『どこ』の鍵?

全てではありませんが、カギ屋を続けているとお客様がお持ちになられたキーを見ると、そのキーが『どこ』で使われているかがわかるようになります。

例えば、このキーは35年から40年前に建てられた公団のカギ、特定の車にしか使われないカギ、おおよそ勝手口にしか使われないカギなど、大まかにわかるようになります。

ある日のことでした。

中年の女性でした。

たくさんの種類のキーの合鍵を作ろうと僕の店にお越しになられたようでした。

鍵の束を持ち出され
「一本ずつ合鍵を作ってください」とおっしゃられました。約十本ありました。

その方のお持ちになられている鍵の一式だったと思います。車、ロッカー、玄関、勝手口など比較的わかりやすい鍵ばかりでした。

二十分ぐらいして、その方が戻ってこられました。僕はとっくに作り終えておりましたので、あとはレジを打つだけでした。

お渡しする時に、僕は少し「知識」をひけらかしたくなりました。

「こちらは、親指で押すタイプの玄関の鍵(サムラッチといいます)ですね。こちらは勝手口の鍵ですね。こちらは・・」と少しすましたように申し上げました。

お客様は
「すごーい!見ただけでわかるんですね!」

思うつぼでした。僕は、あまり人からほめられることが無いので、この方の言葉を聞いて、ドーパミンが放出されたようでした。

「ある程度、お持ちになられたキーは『どこ』でお使いになられるカギかわかりますよ」と、僕は脳内モルヒネ全開のスネ夫のように得意げにしゃべってました。



その時でした。

お客様の後ろに並んでいらっしゃった一人の中年の男性が、差し出そうとしていたキーを見ながら、すばやくそのキーをポケットに戻しました。そして僕を睨みながら、すばやく立ち去っていきました。怯えたような、又、見方によっては怒りに満ちたようでした。



カギ屋をしていると、いろいろな方と出会います。

おそらくこの方は被害妄想だったのだと思います。

僕が言い当てる『どこ』とは、家の玄関であるとか、ロッカーとか鍵が使われている部分ですが、この方は、僕がいう『どこ』とは、家の場所を特定することだと思われたようです。この方が、僕にキーを見せずに立ち去ったということは、つまり僕がこの方の家を特定してよからぬことをすると思っていたのでしょうか。

おそらくこの方は、二度と僕の店にお越しになられないどころか、カギ屋さんで合鍵を作ることができなくなったと思います。

僕は、悪いことをいったでしょうか?
posted by ロン at 23:29| 上海 | Comment(0) | TrackBack(0) | 珍客日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月12日

生類憐みの令

僕の店は、ペットショップが目と鼻の先にあるので、ペットをお連れになられるお客様が比較的多いです。

僕の店のスタッフは、みんな動物が大好きです。ペットもそれを感じるようで、スタッフに対してはおとなしくしたり、甘えたりします。

僕は、商売をしておりますので、お客様の御機嫌をとる事も仕事だと思っております。特にペットを飼ってられるお客様には、ペットに好かれようと「努力」をします。

「努力」とは嫌いなことを無理やりすることをいいます。好きなことを一生懸命することを「努力」とはいいません。

ある日のことでした。

あるお客様が一匹の犬を連れてこられました。小型犬でした。

僕は「努力」をして、その犬に「かわいいですね、今までにもこの店にはいっぱいのワンちゃんが来ますけど、この仔は特にかわいいですね」と心にも無いことをお客様にいいながら、その犬の頭に手を伸ばしました。勇気を出して頭を撫でようとしました。

犬は見抜いてました。

僕はものすごい勢いで指を咬まれました。犬はかなり興奮していました。飼い主の方も、どうしていいかわからない状況でした。

「・・元気のいい仔ですね」と僕は、咬まれた指を後ろにまわして、そのままスタッフに仕事を任せました。

お客様と犬がお帰りになられたあと
「今、咬まれてんけど」と照れ隠しをしながらスタッフにいうと、一部始終を見ていたスタッフは

「犬も、人間を見るんですね」と笑いながらおぬかしになりました。僕は犬にもスタッフにも見抜かれておりました。

スタッフは、動物愛護の心でペットをお連れになるお客様に接することができますが、僕は「生類憐みの令」を無理やり自分に課しながら、今日を生きております。
posted by ロン at 22:07| 上海 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | カギ屋の徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月02日

金庫の中身

それは、腰が直角くらいに曲がったおばあちゃんでした。年は90歳前後でした。

「あのー、金庫を開けて欲しいんやけど、開けれまっか?」

理由をお聞きすると、中に大事なものが入っているが番号をあわせても開かない、キーはあるが、とのこと。おばあちゃんは、車の運転ができないので、僕の店にはわざわざタクシーでお越しになられたとの事でした。

僕は、僕の車に乗せておばあちゃんの家まで向かいました。

おばあちゃんは
「息子の嫁の意地が悪くて、悪戯ばかりして私を困らせんねん。この金庫もダイヤルを嫁が変えたんじゃ」と、息子さんの奥さんの悪口をずっと言っておりました。あまり深入りすると僕の頭が混乱すると思ったので、上の空で聞いておりました。言うまでもありませんが、ダイヤルを変えるなどということはほとんどできません。

何故か、お年を召された女性は息子の嫁の悪口を言うものです。このおばあちゃん以外にも、そのように悪口を言う女性には、僕は何人か遭遇しております。

おばあちゃんの悪口が最高潮に達した時に、おばあちゃんの家に到着いたしました。おばあちゃんの家の扉には、防犯性の高いスイス製のシリンダーがついておりました。おそらく頻繁にカギ屋さんにお世話になっていたと思われます。

僕は、息子の嫁がダイヤルを変えたという金庫を見ました。

テンキー式の金庫でした。

「大事なものが入ってるねん。開けること出来まっか?ほんまにあの嫁は意地が悪いねん、なんであんなに意地が悪いんやろ?」と、金庫を前にしても悪口を言っておりました。

僕は、この手の金庫の解錠はしたことがありませんでした。幸いにも僕の知り合いのカギ屋さんが、以前にこの金庫を解錠した事をおばあちゃんが言っていたので、そのカギ屋さんから番号を聞くことができました。本当に幸いでした(今考えてみると、おばあちゃんは金庫開けを、少なくとも僕以外にも依頼していたのですね)。

金庫の中に入っているものは、お客様のものですので、カギ屋の仕事は扉を開けるまでです。もちろんカギ屋は依頼人立会いの下で解錠をします。

キーを挿して、番号を押しました。

「ピー」と言う音がして、キーが軽く回りました。

金庫の扉が開きました。

本来なら僕の仕事はここまでですが、
「中のもん、とってくれまへんか?」との事なので、おばあちゃん立会いの下に、金庫の中に手を伸ばし、中のものを取り出しました。

中に入っていたものは・・

・・饅頭でした。

僕が今までにした仕事で、最高のギャグでした。

僕は、二度と金庫の解錠では僕を呼ばないということを条件に、お金はいただかずに店に戻りました。釘を刺しておかないと、何度も呼ばれると思いました。


おばあちゃんの「快進撃」は、これだけにとどまりませんでした。

数週間が経ったある日、見覚えのある腰が直角くらいに曲がったおばあちゃんが僕の視界に入りました。おばあちゃんは僕の希望に反してどんどん近づいてきました。逃げ道のない僕は、睨まれて怯える猫になっていました。

おばあちゃんは、僕の顔をじっとみて

「あのー、神様の言葉がわかる人知りまへんか?何であんなに嫁は意地が悪いか神様に聞きたいねん」

・・僕はカギ屋です。
posted by ロン at 19:13| 上海 ?J| Comment(1) | TrackBack(0) | 珍客日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月01日

つい先日のことでした。

僕と同い年くらいの女性が僕の店に来て、
「このカギ、換えたいんやけど?」とキーを見せてこられました。

ピッキングに強いU9でした。

僕は
「換えることはできますよ。錠前の型はどんな型ですか?」
とお聞きしました。

「このカギ見たらわかるでしょ?」とその女性は少し僕を小バカにしたような言い方をしました。

錠前によってシリンダーが異なるので、どんなシリンダーを渡しても合うというわけではありません。

僕は
「錠前に刻印があるんですが・・ 75PMとか85RAとか、それをお調べください」と申し上げましたところ

「だから、この番号があるでしょ!この番号でわかるでしょ!」と怒りをあらわにしました。

この女性は安く済ませるためにシリンダーを御自分で換えられたいようでした。

僕がシリンダーの取替えにいくのなら、こんなことはお聞きしません。現場でシリンダーを合わせればいいだけの話です。

その女性は、「キーの番号でシリンダーは解るはずだ」の一点張りで、僕の説明を全く聞こうとしませんでした。

話がどうしても合わないので、目と鼻の先にあるホームセンターのカギのコーナーにお連れし、もう一度説明しました。

「ここに、75PMとか85RAとかの刻印があれば、これに適合するシリンダーを買ってください。それだけです」と申し上げても、「これは高すぎる」とか「わざわざタクシーに乗ってきたのに」とか「4〜5000円で買えるんちゃうんかい」とか、ぶつぶつつぶやいておりました。確かにこのホームセンターには、ディンプルタイプのシリンダーしか置いていませんでしたので、高価なものばかりでした。

僕は、できるだけその方がシリンダーを買い間違えないように、錠前の型をある程度特定してあげようと思い
「マンションですか?一戸建てですか?」とお聞きしました。

「マンションやって言うとうやろが!」 

初めて聞く質問に、

「言うとうやろが!」でした。

その形相は、誰が見ても嫌悪感を抱く「鬼」のようでした。

僕は、これ以上この方に関わるのはいやだったので、

「ほかのホームセンターならもっと安いもんがありますよ。そちらでお買いください」と申し上げ、店に戻りました。その方のお連れ様(その方のお父様だと思います)は恥ずかしそうに、僕に「すみません」と謝っておりました。


このお客様は、世相を反映しています。

自分の思ったことをするためには、他人のことなど考えもしない、自分が満足するためなら他人を不愉快にしてもいいと考えているのでしょう。つまり、自分以外の人はバカと思っているのです。

また、自分は「お客様」だから強いと思っていらっしゃるようです。お金を出すと、何をしても何を言ってもいいと思っているのでしょうか?
お金持ちを「拝金主義」と批判する方が多いのですが、こんな人が本当の「拝金主義」ではないでしょうか?


社会は人と人とのつながりで成り立っています。社会は他人と自分との共生なのです。そのために他人に迷惑をかけない、不愉快な思いをさせない、ということが最低限の常識でありマナーです。

社会的常識、マナーのない人が最近、特に増えたように思います。特にこの方はひどい人でした。このような振る舞いや言動で、おそらくどこに行っても「悪臭」をふりまいているのでしょう。 

本当に不愉快な方でしたので、かなり攻撃的な内容になってしまいました。

これ以上続けると、とんでもないことを書いてしまいそうなので、今日はこれで失礼いたします。
posted by ロン at 21:03| 上海 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | カギ屋の徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする